2019/07/02 暖簾(のれん)をくぐると
Kさんは、学生時代に暮らしていた町へ、二十数年振りで出張に行くこととなりました。当時の情景を懐かしく思い出しながら町を散策していると、昼食の時間になり、仲間だちとよく通ったラーメン店を思い出したのです。 その店は、昔の佇…
Kさんは、学生時代に暮らしていた町へ、二十数年振りで出張に行くこととなりました。当時の情景を懐かしく思い出しながら町を散策していると、昼食の時間になり、仲間だちとよく通ったラーメン店を思い出したのです。 その店は、昔の佇…
去る四月一日、「平成」に代わる新元号は、「令和」と発表されました。 「令和」は、現存する日本最古の歌集である『万葉集』巻五の「梅花の歌三十二首并せて序」の以下の文からの引用です。 「初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡…
Sさんが出張先のホテルで、同僚数人と、朝食を摂るため食堂に行った時のことです。おかずの一つにハムエッグがありました。 Sさんが「ハムエッグには、何をかけて食べる?」と聞きました。I君は「醤油」、T君は「塩だけ」、Kさんは…
向田邦子さんのエッセイ本『夜中の薔薇』に、「箸置」と題した文があります。 物書きの友人が、暮らしを楽しもうと仕事を減らしはしめたため理由を尋ねると、「箸置きも置かずに、せかせかと食事するのが嫌になった」と言ったそうです。…
イギリスやフランス、オーストラリアなど、私たちがよく見聞きする国であっても、日本との違いについて、案外、知らないことは多いものです。 例えば今日は、一年で最も昼の長い「夏至」です。日本では昼の長さは十三時間ほどで、日が沈…
「むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山へしばかりに、おばあさんは川へせんたくに行きました」 これは、昔話「桃太郎」の最初の一節です。Kさんは、小さい頃から「しばかり」とは、「…
天雲の たなびく山の 隠りたる 我が下心 木の葉知るらむ この歌の作者は、柿本人麻呂です。古くは『万葉集』にも登場する「下心」というこの言葉は、本来は「心の奥底、本心」といった用い方をしていました。 「下心」が、現在のよ…
営業部門で働くB氏。最近、小さなミスが続いている後輩のAさんが気になり、声をかけたところ「家族の介護のことで悩んでいる」と打ち明けられました。 B氏は、後輩が家族の介護でプライベートの大半を費やし、疲れが溜まっていること…
Aさんが外食をした時のことです。その際、不機嫌な表情をしているスタッフに接客されました。注文の際に笑顔は全くなく、視線も合わせません。 しばらく経って、そのスタッフが食事を運んできましたが、お盆に乗せていた飲物を倒して、…
日本では古くから、言葉には不思議な力があると考えられていました。その力を「言霊」と言っていました。 美容師のAさんの元に、担当したお客様から不満の手紙が届きました。休日に、〈どうしたらいいのか〉と悩みながら、その手紙を手…
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